箱根蕎麦は、小田急電鉄を中心に展開されている蕎麦とうどんのチェーン店である。
僕がこの蕎麦を食べ始めてから、30数年経つ。
楽しい時も、悲しい時も一緒だった強い味方である。
学生のころはよく帰りに食べたものだ。
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最近は、6:40分に新宿に到着する小田急線に乗っている。
改札を出てすぐにあるのが、箱根蕎麦だ。
他にも、朝の定食で納豆定食やら、こじゃれたサンドイッチなんか出す店も少しはある。
だが、朝早すぎて他に開いている店は、コンビニしかない。
朝食を摂らずに電車に乗って、やっと着いた新宿、7:00前に納豆をかきまぜる元気はない。
無論、正統派中年オヤジとしては、サンドイッチ(なにがサンドウィッチじゃ)なんか食べたくない。
となると、箱根蕎麦しかない。
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最近はパスモで購入できるので、便利だ。
ところで僕は蕎麦しか食べない。
漱石の小説に出てくるが、「饂飩は馬子が食うものだ」と信じているからだ。
もちろん、おいしい饂飩(=高い饂飩)は好きなんだけど。
※箱根蕎麦は種類が実に豊富であるのだが。
狸蕎麦(400円)、コロッケ蕎麦(450円)、かき揚蕎麦(480円)、肉蕎麦(480円)である。
狸は揚げ玉、コロッケは大ぶりのカレーコロッケ、かき揚は店内で手揚げしている(見ることができる)かき揚、肉は豚バラを醤油で味付けしたもの+ゴマがのり、全てにほうれん草を湯がいたものと刻んだ葱が乗せられる。
狸蕎麦は定番で、安心感がある。
かき揚は「朝からこんなボリュームのあるものが食えるか!」と言いたくなる大きさのかき揚がのる。
怒りながら食べると、うまさが倍増する。
コロッケ蕎麦は、汁につかると崩壊し始めるので食べるタイミングが難しい。
食べ始めから食べ終えるまで、綿密な計画と無駄のない遂行、途中トラブルがあった時の対処などきめ細かい処理と一時一時の決断が必要である。
うっかり蕎麦をゆっくりすすっていると、コロッケが余計に汁を吸ってしまい大変ことになるので、本当に難しい。
※しかし、意外な取り合わせのカレーコロッケはうまいのだ。
食べ終わる頃は頭を使いすぎてフラフラである。
肉蕎麦は、時々食べるが、「中年オヤジにこの肉の量は多すぎるだろう」と思わせる量で、また振ってくれるゴマが数粒なので、「けちけちしないでもう一振りゴマ振れよ!」と言いたくなり、かき揚同様、怒りながら食べることになり、これがまたうまい。
きっとこれからも食べ続けるのだろう。
いつまでもおいしいものを提供して欲しい。
あっ、それと、昔あった鰊蕎麦を復活してほしい。
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ところで箱根蕎麦ははっきり言って高い。
狸蕎麦が400円で最も安いのだ。
吉野家の牛鍋丼が280円、松屋の牛丼が味噌汁付で250円の時代に、制作時間20秒の蕎麦が400円というのはどう考えても高い。
100円安くしてほしい。
そういうのを「企業努力」というのだ。
一つよろしくお願いしたい。