2010年6月27日日曜日

IT企業で働く考

大学を卒業して、浪人までして、地方上級公務員試験を目指し、試験は合格したのに、最後の最後で落とされた。
行政改革の年で、昨年合格者人数の枠内には入っていたのに、落とされた。

英米文学科の出身だったので、公務員試験の勉強はとても大変だったが、知らなかったことを沢山学べたので、それはそれでよかったと思う。
法律、経済など、おおよそ門外漢の科目は大変興味を持って取り組めた。
この試験勉強がなければ、憲法や労働基準法なんて、一生きちんと読まなかったのではないだろうか。


勉強の中で楽しかったのは、数的推理などの、いわゆる右脳を沢山使うものだ。
随分な時間、勉強した。
で、コンピュータに興味を持ち、就職するならIT企業、と思うようになった。
社会に対する使命感とかはなく、「面白そう」だけが動機だった。
なんとなく、ITって響きもかっこいいし。
ところで、今はICTって言いますね。

数学は元々好きだったが、理科系出身でなかったので、IT企業に入っても最初はなかなかつらかった。
中途入社で経験なしなので、きちんとした教育は受けさせてもらえない。
今のように、お気軽にPCを買える環境でもなかったので、実地の勉強は全て現場だ。
VBなんて、先輩社員から原理を5分、操作方法を10分教わっただけで、お客様向けプレゼン用アプリケーションを翌日までに作れ、とか言われたものだ。

アセンブラを最初に学んだことは今考えても大きい。
2回転職し、ホストコンピュータ・ワークステーション・PC・ネットワークと一通り経験したことも大きい。
あまり怖いことがない。
クラウドだろうがなんだろうが、結局、「コンピュータは電気がなければ動かない世界」だし「1か0の世界」であることに変わりはないことが分かるからだ。
ここが変わることはこれから先もない。
万一ここが変わることがあっても、それは、コンピュータ・ITとは呼ばれないものであるはずだ。

ところで、この世界に入って、最初に最も感動したのは、バイナリーサーチという検索方法を知った(分かった)ときだ。
例えば、沢山の数値の中から一つの数値を探すのに、「沢山の数値を昇順に並べ」てから、その真ん中の数値と探したい数値を比較し、真ん中の数値の方が小さければ、真ん中より前の数値群に目的の数値はないから、真ん中より後ろの数値群を対象として、同じこと(数値群の真ん中との比較)を繰り返していくというものだ。
英文科で英国人や米国人の心の襞を考えたり、法律を暗記したりしてきた人間には衝撃だった。
今でも、「分かった!」時の感覚を覚えている。

どんな職業の人にも、長くその業界にいる人にはこのような経験があるのではないだろうか。
こういう、「腹落ち」の経験が一つでもあると、強く前に進める気がする。
逆に、「腹落ち」の経験がないままその職業に就いていても、何かをきっかけにぱっとやめてしまうんじゃないかなと思う。
僕の場合は、感動のアルゴリズムだった訳だが、そういうのがない人は探してでも経験しておいた方がいいだろう。


IT業界に入って、四半世紀がたつが、「コンピュータへの興味」だけでは、食っていけないことも事実だ。
結局は、ITも経済活動のための一ツールにしか過ぎない。
ITへの興味だけでは、やや年齢が行ってから苦労するだろう。

それにしても、日本のIT業界には「スーパースター」がでないなぁ。
どうしてなんだろう??

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