2012年1月22日日曜日

こんな本を読んだ 昭和のエートス



内田樹の2006年から2008年あたりに出した論文?エッセイ?、主にブログに公開した内容をまとめた本である。
センセの本は、多分もう少しで全部読破のはずだ。
すごく面白いので、「頑張って読む」感覚がないのが非常によろしい。
時々、何言ってんだが全然わからないところもあるんだけど、それはそれでよろしい。
本人に「そんなことも分からないのか!」と恫喝されることもないし。
年齢は全然違うんだけど、激しく共感するところも多いので、それもよろしい。
特に、「教育」に関する論評は素晴らしいと思う。
正論+ユーモア+現場を経験してきた攻撃的な人間の抑え切れない激情の吐露など、とってもワクワクしながら読み、「そうだよねぇ」と思う。
「をいをい、この漢字、なんて読むんだよ?」も数多くあるが、それもよろしい。
センセ自身も、「この本の読者はこのこの辺りの層だろうな。」と、分かって書いているのでその辺りを想像しながら読むのも愉しい。
それにしても、知らない・初見の漢字・四字熟語、多いなぁ。
センセが他の本でも「もちろん、こんな言葉は知らないだろうが」と書いている言葉、自分も半世紀も生きてきたが、「本当に」初見の言葉も多く、「勉強」になるなぁ。
知らないことを「知って、分かる」、って愉しいから。



内田センセは、この「ブログに公開した本をまとめて出す」のがとても多い。
なお、ブログは
どういう経緯でそうするようになったのかな、と思っていたのだが、この本に解がある。
p.245、ブログという表現方法、である。
ふ~ん、賢いなぁ、っていうより、氏自身が書いているように人が悪いなぁ。



全編お勧めであるが、最も面白い、と思ったのが、「隠居の愉しみ」である。
これは俺のことだ、と思った箇所がある、僕は大学教師ではないけれど。
引用する。

「大学教師として、私が全力で抑え込んでいたものの一つは生まれついての攻撃性である。私が他人を罵倒することをどれほど必死に自制してきたか、その苦しさを想像することは余人には困難であろう。退職後の私の書いたものを読んで初めて、世間の方々は私がどれほど悪逆非道な人間であるかを知ることになる。そのときの人々の驚きを想像するだけで私の心は今からほっこりと暖かいのである。」

どうだろう。
世に論客として知られる内田樹の言葉である。
今までだって、十分悪逆非道な論も多かったと思うけど。。。

僕も、実は・本当は攻撃的な人間である。
全サラリーマン人生、家庭内人生を通じ、ほんのちょっとしかその面は見せていないはずだ。
「そんなことない、攻撃的だよ」という方は、僕の本当の本質を知らないのである。

楽しい、優しい、好々爺の印象を持っていただくべく、刻苦努力してきた。
が、もうサラリーマンではないし、そんな仮面はとってもよろしいかもしれない、その方が「ほっこりと暖かくなるかもしれない」と思ってしまうではないか。。。

などと思ってしまうくらいこの本は面白いです。

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