2011年5月16日月曜日

満遍なく太っている

大相撲夏場所(技量審査場所)に父と行ってきた。
本当は母と父に行ってきて欲しかったのだが、「狭い場所にじっと座っているのは辛いから」と母が、辞退したので、僕が行くことにする。
実は初めての大相撲観戦である。
父は、接待とか、あるいは接待とか、または接待とかで3回目くらいだそうだ。
蔵前の時にも行ったそうだ。

町田からロマンスカーに乗り新宿へ、すぐに総武線に乗り換えて両国に向かう。
総武線だけ各駅停車だったが、1時間前後で着いてしまう。

きっとガラガラに違いないとの予想を裏切り、まだ15:00くらいだというのに、結構な人手だ。
一番多いのは、ご贔屓の力士を待つ人の群れである。
皆、楽しそうだ。
ちなみに、チケット(今場所は、「技量審査」なので基本、料金はない)は早くに捌けたようで、「入場のチケットはありません!」と女性のスタッフの方が絶叫している。
早めに入手しておいてよかった。


時間がまだ早かったので、父が行きたいと言っていた「相撲博物館」に向かう。
でかい国技館の裏だというので向かう。

で、そこは大江戸博物館とやらで、父の目指すものと全然違う。
係の人に、国技館の中にあるんですよ、と言われて即、国技館に入場する。

正面から入る。





物々しい、感じだが、「なんかいいかんじ」である。
チケットを渡して、半券をもらう。
半券を切る人は、少し前まで現役だった力士である。
僕の半券を切ってくれた人はこの人。
う~ん、現役時代の名前を思い出せない。
「あんた、誰だっけ?」とも聞けないので、そのまま入り、正面右(多分右だろう、で右に行った)の相撲博物館に入る。



昭和・平成の大関・横綱の縁の写真・まわし・手形などがズラッと並ぶ(写真撮影禁止)。
懐かしい顔が並ぶ。
博物館は、案外な狭さで、父は「こんな狭いところだったのか」と絶句していた。
博物館を出た目の前で僕が「タバコ吸っていい?」とことわり、タバコを吸い始めると、父が固まる。
「どうしたの?」と聞くと、僕の1m先に、先に喫煙していた元某関取(たしか大関まで行った)がいた。
どうも好きな力士だったらしく、ちょっと興奮していた。




さて、初めての国技館である。
入り口(正面入口)が広くて気持ちいい。
義援金の箱があったので、持っていた全ての小銭を入れる。
これはどこでもそうしている。
友人の相模原市議会議員の入門時の仲間で作る会の仲間、元横綱北勝海が皆に囲まれていたり、テレビでしか観たことがない顔をあちこちで見る。

知識で知っていた枡席。
4人座ることができる。
昔(父が接待で使っていたような10年も20年も前)は、ここにお酒やら焼き鳥やらお土産やらを持ってきてくれたようで、父は「とにかく狭かった」と言っていたが、まさに「狭い」。
どう紹介すればいいか迷った末、今回父と僕の二人だったので、足を伸ばしたそのままの写真を公開したい。
二人ならゆったり足を伸ばせる。
「ここに四人は無理!」と父にも言ったが周りには四人で固まっているところもあり、『腰とかやられませんように』とお祈りする。
でも、今回は技量審査の場所なので、やはり、いつもよりは空いてて、皆で譲りあう姿をあちこちで見た。
譲り合いが、大変気持ちいい。



席に座るには、狭い通路(幅25cmくらい)を通り、靴を脱いで上がる。
靴は、通路の隙間に入れる。
大変狭い通路だが、皆、気持よく道をあけてくれる。

今回は「技量審査」の場所だからか、飲酒が禁止である。
勿論、どんなところにも必ずいる「お酒持ち込み」の集団はいる。
お土産どころも全部閉まっていて、お弁当とか飲み物とかお菓子を売るところだけが空いている。
つまり、「 白鵬 と書いてある湯飲み茶碗が欲しい」と思っても、それは手に入らないのである。




生の大相撲を始めて観た。
枡席とはいえかなり離れていたので、イマイチ取り組みの詳細は分からない。
しかし、何と言っても感じたのは、「パッと見た目の美しさ」と「間の美しさ」である。

とにかく綺麗である。
清潔であるということではなく、「美しい」のである。
(観たことないけど)多分、歌舞伎ってこんな感じなんだろうな、と思う。
土俵、柱、力士、力士のまわし、力士の座る座布団、行司の衣装、何もかも美しい。
くらくらする。

また、相撲の「仕切り」の意味も何となく分かった。
何度も相手と仕切ることで「闘争心を高める」とかも勿論あるのだろうけど、やはり、その「美しさ」を観ている人に観てもらうための「間」なんだと思う。
じっと観入ってしまった。

大相撲の写真撮影は難しい。
ちょっと離れたら、iPhoneでは限界だ。
一眼レフ、持ってくりゃよかった。


18:00終了で、10分ほどでこんな感じになる。
手際が良くて気持ちがいい。



外に出るとまだ明るく、両国駅までは長蛇の列である。
と言っても、電車は案外な空き方で、父とのんびり座って新宿まで戻る。

写真は、両国駅手前、国技館の横手に見えるスカイツリーである。
スカイツリーは、総武線の中から観るのが一番の迫力であった。


新宿からロマンスカーでのんびり町田に帰る。
国技館の中では、ペットボトルのお茶と水を飲んだだけ(約3時間、本当にそれだけ)で、「何かの修行か?」と思うくらいだったが、集中して観ていたので時間の経つのは大変速かった。
ロマンスカーの中で、父とビールを飲む。
崎陽軒の焼売と砂肝の燻製で乾杯する。
わずか30分で到着してしまうので、無駄口も叩かず、飲んで食べる。
駅には妻が車で迎えに来てくれていた。


父と相撲観戦は初めてだったが、、そろそろ80歳とは思えぬ元気さと足腰で驚いた。
また、機会を作って、一緒にどこかに行こうと思う。
とても楽しかった。
なお、一番良かったな、と思ったのは、父が別れ際、片手を上げて、「今日は楽しかった、ありがとう」と言った瞬間である。


そうそう、お相撲さんは、満遍なく太っている。
ちょっとお腹が出ると、「とうちゃん、ここにはなにがつまっているの?」と子どもが訊くので、「ここかぁ?ここには、夢と希望がいっぱいつまってるんだ!」と言ってきたが、何、気にすることはない。

0 件のコメント:

ページビューの合計