2009年5月24日日曜日

「自滅する企業」 を読んだ


ウォートン経営戦略シリーズの一冊だ。
なぜ、優良と呼ばれる企業が自滅してしまうのか、その原因を明確にし、処方箋まで記述してある。

まえがきにあるが、1970年代、フォーチュン500に載った世界的優良企業の平均寿命は50-60年だったが、今や、10.5年まで急降下している、そうだ。

よく知る企業もあるし、欧米の企業でぴんと来ない(=知らない)企業もたくさん出てくるが、とにかく事例が豊富で面白い。
自社の現状と色々比較してみるのも面白いだろう。

自滅する企業には七つの自滅的習慣があると書いている。

1.現実否認症
2.傲慢症
3.慢心症
4.コア・コンピタンス依存症
5.競合近視眼症
6.拡大強迫観念症
7.テリトリー欲求症

だ。
面白いのは、これを病気として、 「発症のきっかけ」 ・ 「主な症状」 、そして 「治療法」 を述べ、各章の最後にまとめてくれている点だ。
例えば、1.現実否認症についてはこのような感じだ。

診断書1.現実否認症
発症のきっかけ
 □新しいテクノロジーの否認
 □消費者嗜好の変化の否認
 □新たなグローバル環境の否認
主な症状
 □ 「我々は違う」 症候群
  「我々は違う。だからそんなこと我々に起こるはずがない」
 □ 「自前主義」 症候群
  誰か他の人がもっといい方法を思いついたと認めるのはプライドが許さない。
 □ 「正当化」 症候群
  自分の状況を無視する、正当化する、または他人のせいにする。
治療法
 1.探す
  他社の失敗に対する反応を分析する。
  偏見、根拠のない選り好み、改革に対抗する部署はないか、自社の製品と工程と社員をよく観察する。
  管理職の言うことを注意深く聞き、正しい情報が得られるか、確認する。
 2.認める
  現実否認の兆候を見つけたら、病気にかかっていることを認めなくてはならない。
 3.評価する
  どれだけ深く現実否認にはまっているか測定する。
 4.変える
  現実否認へのはまり方が深ければ深いほど、変革は難しい-だが不可能ではない。本書で示した成功事例を参考にする。

そう、成功事例も載っているのだ。

また、最終章は、予防は治療に勝るということで、予防策も載っている。
例えば、1.現実否認症についてはこのような感じだ。
こちらも症の最後にまとめている。

体質改善指導-健康な組織を育成し、会社の寿命を伸ばすための予防策
1.現実否認症
 □事業の前提や正当性を絶えず問題にする制度をつくる。
 □管理職に将来の見据え方を教える実践的リーダーシップの講座を設ける。

今も生き残っている企業も多く出てくるので、 「現在のその企業の在り方」 を見て、この本を読むと面白さ倍増だ。

お勧めしたい。

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