大好きな池谷裕二さんの新著(といっても出たのは去年の8月)だ。
脳はゆらぐものなのだ、が本書の主題だが、サイエンティストの仕事の仕方や考え方が紹介されていて新鮮だ。
自身の研究成果も、 「自慢げでなく」 語られる。
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脳の神経細胞(放電)の活動は1,000分の1秒、だから、その動きを撮影するには、約倍の1秒間に2000枚の撮影が出来るとよい、でそれを実現、だそうだ。
それだけの神経細胞を見ていると、勝手に 「発見が生まれてしまう」 というくだりが興味深い。
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海馬の神経細胞は培養する(!)ことができる。
その写真が載っている。
神経細胞は生物なのか?
すごい。
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現在の生命科学の主流、分子生物学に対しやんわりと 「自分はそうは思わない」 という論が論理的に、しかし柔らかく語られる。
面白い。
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氏の本を読むと、いつも 「知らなかったこと」 を大量に仕入れることが出来る。
自分の仕事とは直接関係ないことばかりだが、いろいろなことを知るのは快感だ。
以下だ。
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「複雑系」 は 「部分の総和は全体にならない」 という考え方をする。
ヒトの網膜には三種類の色センサーがある。三色を感じる霊長類は例外的でイヌやウシなど多くの動物は二原色の世界を生きている。ネズミは一色で色盲。
脳の神経細胞には 「可塑性(変形させたらもどらない性質)があり、自分の活動を参照しながら、どんどん自分を書き替えていく、これが生命の本質だ。
人間が 「みんな」 というとき、具体的に何人か。答えは三人。
裾野の広くない山は高くない。
スンクスという小動物は嘔吐をする珍しい生物。マウスやラットやウサギは嘔吐をしない。なぜなら。。。
セレンディピティ・・・偶然の発見
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本書は、木村俊介氏の質問に答えていく形で話が進むが、 「なぜこの質問?」 と思うところが多く、読んでいるとちょっといらいらする。
でも、読む価値あり。
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科学の専門雑誌のインパクトファクター(注目度)順に並んだ一覧表が載っている。
知ってる雑誌、知らなかった雑誌がずらりと並び、壮観だ。
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