2010年3月7日日曜日

こんな本を読んだ 羊の歌


羊といえば村上春樹であるが、今僕にとっては加藤周一である。
学生の頃呼んだ記憶がある。
記憶は、遥か彼方だ。
岩波新書の背表紙が薄茶色に変色しているが、僕の本棚に残っていた。
過去に「もう読まない。」と思って何千冊か古本屋に売ったが、この本は「もう読まない。」とは思わなかったのだろう。
なぜ、そう思ったのか当時の自分に聞いてみたい。
※今なら大丈夫、ブログあるし。
続を読むのが楽しみで楽しみで仕方ない。
※もちろん持っている。
日本の古き時代(氏は1919年東京生まれ、僕よりちょうど40年前に生まれている)の知識人の生き方、その時代背景、戦争に対する考え方、戦争そのもの、日本人の生き方、東京と地方の正確な描写、東京大学医学部の「あの時代の」息吹、男と女、著名人の行動など、実に緻密に描かれ、しかし描写は楽しげであり、しかし苦悩が色濃く、しかし読み物として超一流である。
びっちり、書かれているのが楽しい。
感想を一言で言うと、「むむむ、面白い。やばい、すごくすごく面白い。」である。
もう一つ、「俺、これ、読んだっけ?」である。
いかに自分が凡人かがよく分かる。
しかし、頭の中の今まで使っていなかった部分が急に活動を(強制的に)始めさせらた感じがする。
何とも不思議な「追体験」を味わうのだ。
何故なのだろう。。。
ちなみに、今回改めて読んで初めて「羊」の意味を知った。
友人を戦争で亡くした人の気持ちは、どのようなことがあっても分かりようがないと思うが、その気持ちを伝えようという気持ちはよく分かる。
人は一人ではないのだ。

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